不登校のお子様の保護者様の中には「自分の育て方が悪かったんじゃないか」と思われる方も多いのですが、お子様の「特性」は遺伝子レベルで決まっていると言われています。元々ご本人が持っているものなので、保護者の方が責任を感じる必要はありません。

ただ、この先、わが子が成長するためにはどのように接したら良いかという部分はとても重要です。苦手分野を持ちながらでも、子供が社会で居場所を見つけられるように、良いところを最大限伸ばすための働きかけを共に考えていきましょう。

私自身、小中での不登校の経験はありませんが、大学で体調をくずして引きこもりがちになってしまいました。全寮制のフリースクールでの運動療法や復学後にもさまざまな体調管理法を試し、自分に合っているやり方を徐々に確立していきました。大学卒業まで7年かかり、両親にはだいぶ迷惑をかけましたが、自分としては価値ある時間だったなと思っています。

不登校のお子様にも同じことが言えると思います。それぞれ課題が異なるので、やり方も十人十色だと思います。さまざまな方法を試して自分に合っている生き方をみつけましょう。「不登校でせっかく時間ができたのだからとことん自分自身に向き合ってみよう」という見方もできると思います。

オンライン進路指導について

義務教育の期間は学校に行っていなくても、1年経てば進学でき卒業できます。しかし、高校からは一定の成績を取らないと留年・退学となってしまいます。

そもそも希望の高校に入るには競争を勝ち抜かなければならず、いきなりわが子が社会のふるいにかけられてしまうということに不安を抱えている保護者様も多いかと思います。

高校選びで一番大事にしていただきたいのは「高卒資格」です。高校選びの基準の1つに偏差値があると思いますが、たとえば偏差値60の高校に合格しても卒業できなければ、その先進学することはできません。

しかし偏差値40の高校でも卒業すれば、さまざまな進学先があります。大学や専門学校に進学すれば、高校の名前が評価されることはありませんので、「○○高校卒業」に価値を置くのではなく、「高卒資格」に価値を置くのが重要です。

そう考えると高校選びの基準は、わが子が無理なく生活・学習が行え、卒業しやすい高校にすると良いと思います。卒業するには高校のサポートが必須ですので、不登校に理解のある高校が安心です。

東京都内で指導している私の経験上、都立であれば、定時制高校、私立であれば広域通信制高校を選ぶご家庭が多いです。特に都立独自の定時制高校の「チャレンジスクール」は入試での学力や内申点が不問の上、中学の内容から学び直しができるということで人気があります。

ただし、入試では作文や面接で自分の考えを表現する力が求められ、これまで表現する機会が少なかったお子様にとっては、簡単ではありません。しかも、近年の不登校生の増加により、チャレンジスクールの中でも人気校は倍率1.5倍以上になります。

そのためより高いレベルの作文力・面接力がないと合格できない状況になってきました。そこで早いうちから対策を始め、力をつける必要があります。

指導方法としては教室などで直接指導する方がやりやすい部分もあるのですが、私の経験上、中3の春から意欲的に通ってくる生徒さんは少ないです。秋くらいから尻に火がついてがんばるのですが、高いレベルになったチャレンジ校の入試にそれでは間に合わない場合がでてきています。かと言って春から1年間自主性を持ってがんばれる生徒さんは少ないです。

そこでやる気はあるのだけれど、なかなか行動に移せない生徒さんのために自宅で気軽に受けられるオンライン進路指導を開始させていただきました。オンラインであれば、家にいながら、授業の時間だけ気持ちを作ってパソコンの前に向かえば良いので、少しずつ進路対策を始めることができます。作文・面接力アップには時間がかかりますが、長丁場になります。

マイペースに少しずつ進めていきましょう。